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仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
② 五段目から、六段目、七段目まで

歌舞伎でもっとも有名な人気演目 全11段

①(大序~四段目) ②(五段目 ~七段目) ③(八段目~大詰)

ストーリー・あらすじ:

五段目:山崎街道(やまざきかいどう)

お軽と一緒にお軽の故郷・山城国山崎に落ち延びた勘平は猟師となって暮らしている。夏の夜、山道を行く勘平。折からの雨で火縄銃の火が消えてしまう。そこへ提灯を持った旅人が通りかかる。勘平は火を借りようと近寄る。旅人は山賊だと思い身構えるが、勘平は山賊でないことを示すために鉄砲を渡して火を付けてもらおうとする。

ところがよく見るとその旅人は、かつての同輩、旧塩冶家の家臣、千崎弥五郎(せんざきやごろう)だった。勘平は今の身の上を話し、主君の仇討ちをするなら自分も加えてほしいと千崎に頼む。先崎は同情するが、軽々しく仇討ちのこと口にできないので「討ち入り資金を集めている」とは言わずに「亡君の石碑建立のため」ととぼける。勘平は千崎の真意を察し「金は作る」と約束して二人は別れてその場を去る。

夜闇の山道。お軽の父・与市兵衛が帰途を急ぐ。懐には五十両の入った財布を持っている。実は婿の勘平には内緒で婿の出世のために娘のお軽を祇園に売ってきた。それを追いはぎに狙われる。追いはぎは斧定九郎、斧九太夫の息子で、親に勘当され、すさんだ盗賊になっている。定九郎は与市兵衛を切り殺し財布を奪う。

すると突然イノシシが走り出てくる。定九郎がイノシシをかわした直後、バーンと銃声がして定九郎は鉄砲に撃たれて死ぬ。イノシシを追いかけて再び勘平が登場する。イノシシと間違えて人を撃ってしまったことに気が付く。闇の中で抱きかかえようとすると財布を見つける。見れば五十両、誰も見ていない闇の中、天の恵みと奪って走り去る。

六段目:与市兵衛住家(よいちべいすみか)

勘平とお軽が身を寄せているお軽の実家が舞台。お軽の父与市兵衛は出掛けたまま帰らないのでお軽の母おかやは心配している。一文字屋が現れ、後金の五十両を置きお軽を強引に連れて行こうとする。そこへ勘平が帰ってくる。勘平はお軽の母から、与市兵衛が勘平のために娘を売って金を工面しようとしたと聞かされる。
一文字屋は、自分が着ている着物の柄と同じ財布に入れて与市兵衛に五十両を渡したと話す。勘平は懐の財布をこっそり見ると全く同じ柄、舅どのを夜闇の中でイノシシと間違えて撃ち殺しその懐から財布を奪ってしまったのだと勘違いしてしまう。
お軽は契約通り一文字屋が連れて行く。残された勘平と母おかやのもとに与市兵衛の亡骸が運ばれてくる。驚く母、驚かない勘平。勘平の様子を不審に思い問い詰めると偶然、懐の財布に気が付き「舅どのを殺して金を奪ったのか」となじる。言い訳できない状況の勘平に畳み掛けて、義臣の千崎弥五郎、原郷右衛門が登場し、昨日受け取った五十両を返しにくる。目の前に金を置かれ、追い詰められた勘平はたまりかねて腹を切る。死に際に、イノシシと思って誤射し人を殺め、金を手に入れ、弥五郎の後を追って金を渡したいきさつを話す。
話しを聞いた弥五郎、郷右衛門が死骸を検めてみると、その傷口は鉄砲傷でなく刀傷。そういえば途中で山賊に身を落としていたと聞いていた斧定九郎が鉄砲に撃たれて死んでいるのを見た。さては与市兵衛を殺して金を奪ったのは定九郎で、勘平が撃ったのは舅の敵。勘平は知らぬ間に仇を討って金を取り戻したのだとわかる。勘平の疑いは晴れるが時遅し。泣き叫ぶ母の前で、勘平は連判状に血判を押させてもらい、にっこり笑って息絶える。

七段目 祇園一力茶屋(ぎおんいちりきや)

塩冶判官の無念の切腹から半年が経った。大星由良助は京の祇園町で放蕩に明け暮れていて、仇討ちのことはまるで忘れてしまったかのようである。

師直の家来鷺坂伴内と元は塩冶判官の家来で今は師直方へ寝返った斧九太夫が由良助の動向を見極めようと祇園町の一力茶屋へ乗り込んできた。噂通り由良助の遊女たちと飲めやうたえやのどんちゃん騒ぎを見て呆れてしまうが、疑り深い九太夫は念のためひそかに座敷へ上がり込み様子を伺う。

由良助の家来3人が、遊興三昧の由良助の真意を図りかねて訪ねてくる。由良助は「仇討など人参飲んで首くくるような馬鹿げたものだ」と言って相手にしないで酔いつぶれて寝てしまう。腹を立てながらもその場を去る三人侍。
人目を避けながら息子の大星力弥が顔世御前からの手紙を渡しに来た。顔世御前は鎌倉で尼となっており師直の動静を密かに由良助に知らせてくれていた。むっくりと起きる由良助は少しも酔ってはいない。由良助が手紙を読もうとしたときに九太夫が現れたので慌てて隠す。明日は判官の月命日、その前夜は「逮夜(たいや)」と呼ばれる精進の日。九太夫はわざと生くさもののタコを進めるも、由良助は平気でぺろりと食べる。また由良助が忘れていった刀が錆びているのをみて「討ち入りはない」と安心する。それでもさっきの手紙が気になって縁の下に隠れる。

二階では遊女になっていたお軽が酔いを覚ましているところ、気づかすに由良助は一階の縁側で手紙を読み始める。お軽はラブレターだと思いそれとなく手鏡でのぞき見る。縁の下では九太夫が手紙を盗み見られてしまう。
ふたりに気が付いた由良助は手紙を隠す。事を収めるためお軽に「惚れた身請けする」と言い出す。殺して口封じをしようとするため。そばにあった梯子を立てて二階にいるお軽を下すのだが、その梯子は同時に縁の下にいる九太夫を逃げられなくもしている。

由良助が身請けの手続きをしに奥へ行っている間にお軽の兄・平右衛門が登場する。手紙の内容を聞いた平右衛門は身請けするのはお軽を殺すためだと悟る。ならば自分がお軽を殺して仇討ちの仲間に入れてもらおうと妹に切りかかる。驚くお軽は、年季が明けたら勘平と暮らせるから死ぬわけにはいかないというが、兄から勘平や父親の死のことを知らされ生きていてもしかたないと自害しようとする。

そこへ陰で様子を見ていた由良助が止めに入る。兄弟の気持ちを汲んで、平右衛門には仇討ちに加わることを許し、お軽には生きて夫や父の追善をせよと諭す。そしてお軽に刀を持たせ床下を突き刺すと潜んでいた九太夫がさされてのたうちまわる。ひっぱり出して加茂川へ放り込めという由良助。

①(大序~四段目) ②(五段目 ~七段目) ③(八段目~大詰)

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