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義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
③ 渡海屋・大物浦(とかいや・だいもつのうら)

兄・頼朝に追われる義経、死んだはずの平家の武将、滅びゆく者の悲哀を描く

① 序幕・北嵯峨庵室・堀川御所  ② 鳥居前  ③ 渡海屋・大物浦  
④ 木の実・小金吾討死  ⑤ すし屋  ⑥ 道行初音旅・川連法眼館

本外題:

義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)

カテゴリー:

三大名作

主な登場人物:

渡海屋銀平 実は新中納言知盛
(とかいやぎんべい・しんちゅうなごんとものり)
摂津国(せっつのくに)大物浦(だいもつのうら)で廻船業を営む船頭。実は義経を打ち取ろうとする新中納言平知盛(しんちゅうなごん たいらの とももり)。平知盛は平清盛の四男。平重盛とは異母兄弟。同母の妹に安徳天皇の母となる徳子がいる。
女房お柳 実は典侍の局(おりう・すけのつぼね)
銀平の妻。実は安徳帝の乳母。
お安 実は安徳天皇(おやす・あんとくてんのう)
幼い銀平の一人娘。実は戦で入水したはずの安徳天皇。安徳天皇を実は女帝だったという設定です。
源義経(みなもとの よしつね)
九郎判官源義経(くろうはんがん みなもとの よしつね)。源平合戦で平家を討伐するが、その武力を恐れた兄・頼朝に嫌われ追われる身となる。
武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)
義経の家臣。
亀井六郎(かめい ろくろう)、片岡八郎(かたおか はちろう)、伊勢三郎(いせ さぶろう)、駿河次郎(するが じろう)
義経の家臣たち。
相模五郎(さがみ ごろう)
鎌倉方と偽って義経を探索に来る。実は銀平の手の者。相模五郎はご馳走役で、観客の意表を突く大物の役者がキャストされることがあります。

ストーリー・あらすじ:

渡海屋(とかいや)

義経一行は九州へ船で逃れるため、摂津(大阪)大物浦の船宿・渡海屋に密かに逗留し、天候の回復を待っています。鎌倉より相模五郎(さがみ ごろう)が来て義経を探索しようとしますが、渡海屋の主人・銀平と女房のおりうの二人に追い払いわれます。

銀平は義経に一刻も早く船出することを勧めます。しかし実は銀平は合戦で死んだはずの平知盛で、義経を討ち取ろうと計略しています。銀平の幼い娘・お安は安徳天皇で、女房のおりうは天皇の乳母・典侍の局(すけのつぼね)です。嵐の中へ義経を船出させて、海上で戦いを挑みます。自分たちを幽霊に見せかけて義経の目をくらませようと、銀平らは白装束に白い鎧を着て義経の後を追います。

大物浦(だいもつのうら)

浜で戦況を見守る安徳帝と典侍の局、女房たち。知盛は奇襲を掛けたつもりだったが、実は義経はそれを早くから見破っていたのです。沖に見える船の様子や家来の知らせで、帝と局は戦いに敗れたことを知ります。覚悟を決めて自害しようと局が帝を抱いて入水しようとしたとき、背後に義経らが現れて帝と局を押し留め、捕えて渡海屋の中へ入って行きます。

全身に矢を受け重症の知盛が帰ってきます。帝と局を探すと、帝と局を従えた義経が現れます。知盛はなおも立ち向かいますが、帝に「これまで面倒を見てくれた知盛の情け。今自分を助ける義経の情け。どちらも有りがたい。義経を恨みに思うな」と帝が声を掛けます。局はすきを見て持っていた懐剣で自害してしまいます。帝を義経に託し死んでいく局。

言葉を失う知盛。これまでの苦難を振り返り、父の平清盛の悪行の報いだと悔やみ、義経への恨みが消えていきます。知盛も帝を義経に託し、船で海に出ると碇を担ぎ身を投げます。

① 序幕・北嵯峨庵室・堀川御所  ② 鳥居前  ③ 渡海屋・大物浦  
④ 木の実・小金吾討死  ⑤ すし屋  ⑥ 道行初音旅・川連法眼館

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